グーニーズ


「北海道に帰ることになって、もって帰るのにもお金かかるしお前にやるわ。半年も乗ってないからまだまだ走るぞー」といって先輩がくれたチャリンコにずっと乗っていた。JAMISというメーカーのもので、乗って帰ってネットで機種を見たら、定価が11万円と表示されていて驚いた。


そのJAMISがパクられた。


大阪から兄ちゃんが1ヶ月程来ていて、その兄ちゃんが乗っている時に平和島の駐輪場でパクられた。チャリンコ本体には鍵をかけていなかったらしく、おそらく誰かが駐輪場に停めていた時間分の料金100円、200円を入れて駐輪場のロックを外してもっていったんだろうと思う。


兄ちゃんは、「悪い。弁償する」と言ってきたが、もらい物だし、ネットで2千円で買って組み立てたぼろチャリがもう1台あるし、そんなに困ってはないので断った。
それでも、「いや、なんらかの弁償はする」と言うので、いつか僕が結婚して、ガキンチョができ、そのガキンチョがチャリンコに乗れるくらい生意気になった時、めっちゃかっこいいチャリンコを買って欲しいと頼み、兄ちゃんはそれを約束してくれた。


何の気なしに提案したこの約束が、自分にとっては大きな光になっていることに気づいた。


自分に子供ができ、その子供が大きくなった時に必ずバッシバシにかっこいいチャリンコに乗せてあげれるということは、自分にとってなんて大きな希望になるのだろう!
僕にとってそれは、貯金が何千万あるということや、将来ずっと安定した給料がもらえ続けるということなんかよりもずっと明確な、そして頑張れる大きな、強い光。


まだ結婚どころか、相手も、ガキンチョができる気配すらないけれど。


待ってろよ、俺のガキンチョ!
待ってろよ、俺のガキンチョ!
待ってろよ、俺のガキンチョ!