桃栗三年柿八年


先日、撮影の仕事が被写体の都合により前日にキャンセルになった。編集の人は電話口で「申し訳ない、申し訳ない」と大変恐縮されていたが、僕自身、なぜか前向きだった。


前向きに歩けば前に進む。あたりまえのことに、最中には気づけない。


新しい撮影依頼が入った。
はじめ話しをもらった時、規模の問題ではなく、僕ができる撮影ではないと思ったが、僕の写真を見てくれた人が、「 お前に撮らせたい、自分の作品と思って撮っていいから 」と言ってくれた。
やるしかない。
やるしかないやろ。





昨日よんでもらった出版関係のパーティー会場で、大皿に盛られたデザートの柿をむしゃむしゃと食べた。
パーティーというものはやっぱり苦手で、一人むしゃむしゃと食べた。
中から出てくる種をひたすらジーパンのポケットに詰め込んでいった。


今日、11月2日。
ガタつくアパートの窓を開け、猫の額程の庭に、ジーパンのポケットから取り出した種を、蒔いた。




桃栗三年柿八年。
俺は八年で成るか。