続けるということ


ボクサーライセンスの制限年齢は36歳。元世界王者は特例で最終試合から3年以内はライセンス再交付の申請が可能らしい。現在38歳の辰吉丈一郎は、その特例とされる期間が残り一ヶ月を切った。今月26日が期限。しかし、所属ジムからは引退勧告を受けている。
本人は、「国内でできなかったら海外でやればいい」、「何も変わってへん。世界を目指すよ」と言っている。
何かの雑誌で、現在辰吉は足の状態が良くなく、全力疾走ができないという記事を読んだ。そんな状態の男が「世界チャンピョンになる」と公言している。世間的に言えば、「冗談じゃない」だろう。


でも僕はこういう男に惚れてしまう。ボロボロになっても、這いつくばって這いつくばって、這いつくばってでも進んで行く男の姿に強烈に魅かれてしまう。

中田英寿マイケル・ジョーダンのように、自分の最高潮の時に華々しく引退していくのは確かに美しい。けど、僕は魅きつけられないし、そんなカッコいいこと僕にはきっとできない。

野茂英雄三浦知良、桑田や清原、西島洋介みたいに這いつくばってでも自分を疑わず、進み続けている人の背中に、僕は猛烈にやられてしまう。


三浦知良はある雑誌のインタビューでこのように答えていた。
「体力面は少しずつ衰えていってるけど、技術面は向上していっているから、トータル的には昔よりも上手くなっていってるんだよね」


三浦知良が日本代表に復帰することはないかもしれない。しかし、その背中を見てサッカーをはじめた少年が、将来、日の丸を背負ってボールを追いかけているかもしれない。

辰吉丈一郎が世界チャンピョンに返り咲くことはできないかもしれない。しかし、その背中を見て育った息子の寿希也が将来世界チャンピョンになるかもしれない。実際、もうすでにボクシングを始め、「親父を超えて、世界を穫る」と言っている。