トンネルを掘り進め!


先日、友人の展覧会のオープニングパーティーに参加するために吉祥寺のギャラリーへ行ってきた。もう、猛烈にバリバリやってる奴で、そんな奴の展示に集まる人たちは、もう、やっぱりバリバリでとても刺激を受けた。
今の僕の生活は「うどん」と「写真」の二本柱で構成されている。もっと言えば、フィルム、印画紙等の写真用品を買う為に「うどん」でお金を稼いでいるので「うどん」も「写真」の為。なのでどっちの柱もバランスよくやらなければならない。忙しくなって目的意識が薄まり本末転倒にならないように気をつけなければならない。


その為というわけでもないが、以前から何となく考えていた計画を実行することにした。
うどん屋には地下室がある。普段は客席がある場所の床に、二枚の蓋で閉じられた地下室への入り口がある。開けると壁に鉄のはしごが埋め込まれていて、地下室へ降りられるようになっている。はじめは面白がって開けて覗いていたスタッフもいたが、この数ヶ月は僕以外誰も入ってもいないし開けてもいない。地下室といっても、コンクリートの打ちっぱなしの簡素な作りで、ただ貯水タンクが置かれているだけ。部屋というよりも倉庫に近い。高さは10メートル程あり、広さは10畳くらいか。蛍光灯だけど電気も点くし、電源もとれる。所々コンクリートから無造作にとび出ているクギや針金が額縁を掛けるのに丁度いい。
この地下室で展示をする。と言っても誰に見せるでもなく、ただ展示を決行するだけ。一、二ヶ月ほどかけて写真を少しずつ少しずつ運び込み、完成すれば自分一人で缶ビールでも開けながら悦に浸る。誰に渡すでもないDMを作るのも面白いかもしれない。誰の為でもない、本当に自分だけの為の展示。


三年程前にブラジルであったある事件に不謹慎にも僕は心躍らせてしまった。
ブラジル国内過去最高額の約72億円の被害となる銀行強盗事件(記事によっては75億とも76億とも!)。僕は犯人グループの犯行方法に興奮した。インターネットを介して自分の口座にお金を振り込むとか、何重にもかけられた電子ロックのコードを全て計算で割り出し、、、なんかではなく、もっと原始的な方法、穴を掘って地下から銀行の金庫に侵入したのだ。銀行から約80メートル離れた所にある民家を借りて、約3ヶ月間かけて地下4メートルの深さのトンネルを銀行に向かって掘り続け、進んだのだ。途中の地上には、広い道路もあった。犯行は金曜日の17時に金庫が閉まってから、月曜日の朝に金庫が開くまでの60数時間の間に行われた。金庫内に進入し、重量3.5トンを超える現金を運び去った。紙幣は使用済みの50レアル札(約2500円)で、番号は記録されていなかった。警報装置は作動しなかったらしい。
 


日に数センチ、数センチと黙々とトンネルを掘り進めた犯人のように、1枚、1枚と誰にもバレることなく写真を地下に運び込め!