フンダ フンダ

 
 

 
 
ふんだ、ふんだ。
久しぶりにうんこをふんだ。
夜道で存在に気づかずにふんだ。
 
考えてみれば、東京に来てからはあまりうんこをふむことがなくなった。前にふんだのがいつだったのかも思い出せない。
 
土道が多かったからだろうか、小学生の時は1日に3度ふんづけたこともあった。下校時、うんこを見つけたらみんなで囲み、インジャンで負けた奴がうんこを蹴飛ばすという、なんのひねりも発展性もないルールで狂った様に盛り上がっていた。
風化して白っぽくなったうんこをホワイトウンコと呼んだりして、見つけたらなんかちょっと得した気分になったりもしていた。
 
そういえば、僕は人生初デートの日にもうんこをふんだのだった。黙っていればいいものを、ふんだ瞬間、「わ!うんこふんだ!」と声に出してしまったために誤摩化すこともできず、一人で腹を立てていた。女性の前ということと、初デートということも重なって、その時はもう情けなくて悔しくてたまらなかった。「大丈夫、大丈夫」と笑いながらなぐさめてくれたあの人は、もうきっとそんなことは覚えてないだろうけど。
 
そんなことを思い出し、アスファルトに靴底をこすりつけながら帰った。