十月の曼珠沙華

 
 
小学生の頃、頻繁にみた夢がある。
どこの誰だかわからない相手と校庭でケンカをする夢。殴っても殴っても拳はむなしく空を切り、僕のパンチは悲しいくらいに相手に届かない、当たらない。
そんな夢。
 
似たような夢を最近よく見る。
どこだかわからない場所を一人で歩いていて、全然進んでいないことに気付く。歩調を速めるが、それでも一向に景色は変わらず、僕は焦って走り出す。しかし、走っても走っても、まるでエスカレーターを逆走しているみたいになかなか前に進まない。
そんな夢。
 
 

 
 
せめて目が覚めている時には精一杯走ろう。走って走って距離かせいだるねんどこまでも。えんやーとっと、えんやーとっと。